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はつゆき型護衛艦


 『はつゆき型』護衛艦は艦隊の中核となるヘリコプター搭載汎用護衛艦である。はつゆき型は12隻が建造され、同型の艦艇建造としては最も多い記録となっている。

 はつゆき型は海上自衛隊創隊当初に建造された『あやなみ型』、『やまぐも型』、『たかつき型』などの後継となる護衛艦であるが、これらの護衛艦は対潜能力を重視した設計の対潜護衛艦(DDK)であったが、はつゆき型は対艦、対潜、対空などの能力をバランスよく持っており、さらにヘリを搭載し、汎用化をはかった海上自衛隊初のタイプである。従来は対空や対潜などに特化していたが、はつゆき型では一通りの任務が可能となっている。

 武装は艦首から76mm速射砲、その後部にアスロックランチャー、艦橋後部に高性能20mm機関砲CIWS、煙突(01甲板)の両側にハープーン発射機、その下に3連装短魚雷発射管、艦尾にシー・スパロー発射機がある。76mm速射砲は、護衛艦『むらくも』に試験的に搭載されていたが、はつゆき型は本格的に搭載を始めた初のタイプである。さらに、対艦ミサイルのハープーンもこのはつゆき型から装備を開始した。さらに、シー・スパローの発射機もNATOで開発された新型となっているなど新たな装備が多数取り入れられている。

 さらに、海上自衛隊で初めて主機にCOGOGと呼ばれる方式が採用された。これは、巡航時には巡航用のガスタービンを、高速時には高速用のガスタービンを作動させるというもので、このガスタービンは航空機が搭載するものと基本的には同じ構造だが、航空機のものは噴出するガスをそのまま推進力にするが、艦船用のガスタービンは噴出ガスでタービンブレードを回転させ、推進軸を駆動させる構造になっている。ちなみに、艦船に航空機用のガスタービンを採用しているのは軽量で瞬発性・整備性に優れているためで、はつゆき型の建造が始まったころには諸外国の大型艦艇では一般的であった。そして、巡航用、高速用ともにガスタービンとしたことで、海上自衛隊で初めてオールガスタービンが採用された艦である。

 はつゆき型はヘリコプターを1機搭載が可能な設計となっており、対空誘導弾搭載護衛艦(DDG)2隻、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)1隻とヘリコプター搭載汎用護衛艦(DD)5隻とDDHに3機、DDにそれぞれ1機搭載されているヘリコプター全8機で1個護衛隊群を編成するいわゆる『八八艦隊』(護衛艦8隻、ヘリ8機)の中核となるヘリ搭載汎用護衛艦であるため、同型の艦が12隻も建造されおり、『ちくご型』の11隻をこえ最も多い記録となっている。この八八艦隊の1個護衛隊群を4個群整備する計画であったため、ヘリ搭載汎用護衛艦が20隻必要で、はつゆき型の拡大改良型の『あさぎり型』が8隻建造されることになる。

 はつゆき型はヘリ搭載護衛艦(DDH)以外では初めてヘリを搭載する護衛艦であり、ヘリを発着艦させるため01甲板(速射砲などが装備されている甲板を1階とした場合の2階部分)にヘリ甲板と格納庫を持っている。

 この、はつゆき型は当初、軽量化などのために上部構造物をアルミ合金製で建造していたが、8番艦『やまゆき』以降は鋼製になっている。これは、フォークランド紛争時にイギリスの駆逐艦もアルミ合金製の上部構造物を持っていたが、被災時にアルミ合金では火災に弱く、炎上しやすいことが判明し、この戦訓から海上自衛隊でもアルミ合金製から鋼製に戻されている。

 はつゆき型は就役当初、護衛隊群の中核となっていたが、むらさめ型の就役によって徐々に護衛隊群から地方隊へと移籍が進み、2006年2月の『はまゆき』の移籍をもってすべて地方隊に所属となった(最終艦の『しまゆき』は1999年3月に練習艦に種別変更)。なお、通常、地方隊ではヘリの運用を行わないが、有事の際となれば当然運用を行うことができる。

主要目
型名 はつゆき
船種 ヘリコプター搭載汎用護衛艦艇
基準排水量 2,950t、『やまゆき』以降3,050t
長さ 130m
13.6m
深さ 8.5m
喫水 4.2m、『やまゆき』以降4.4m
速力 30ノット
乗員 200人
主要兵装 76mm速射砲
ハープーン
アスロックランチャー
シー・スパロー発射機
3連装短魚雷発射管
哨戒ヘリSH−60J

同型艦
番号 名前 計画年度
122 はつゆき 昭和52年度
123 しらゆき 昭和53年度
124 みねゆき 昭和54年度
125 さわゆき 昭和54年度
126 はまゆき 昭和54年度
127 いそゆき 昭和55年度
128 はるゆき 昭和55年度
129 やまゆき 昭和56年度
130 まつゆき 昭和56年度
131 せとゆき 昭和57年度
132 あさゆき 昭和57年度









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