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垂直発射装置(VLS)




 垂直発射装置(VLS:ertical aunching ystem)はミサイルを垂直に格納・発射する装置(システム)の総称。

 これまで、ミサイルなどの発射装置(アスロックランチャー、Mk13ランチャーなど)は発射前にランチャーを発射方向へ指向させる必要があり、その間の時間や、ランチャーへの次弾の装填などの時間がかかり、発射間隔は最高でも4秒程度であるために即応性が低い。また、被弾時の残存性や誘爆などの安全性に問題があった。

 しかし、VLS(垂直発射装置)は発射装置を指向させる必要がなく、発射口(セル)もそれぞれ独立しており、ミサイルを格納しているキャニスターからそのまま発射ができるため、発射間隔が1秒程度と短い。
また、セルが故障(もしくは被弾)して発射不能になっても、他のセルの発射には影響が無く、他のセルから発射が可能となっており、残存性などが向上している。また、ミサイルの格納庫・発射装置が船体内に埋め込まれているため、被弾しにくいため、安全性が向上している。

 また、VLS(垂直発射装置)はアメリカやロシアなどが開発し、各国の海軍の艦艇に採用されており、いくつかのタイプがある。このうち、海上自衛隊が装備しているVLSはアメリカが開発した『MK41』と『MK48』である。



Mk41VLS

Mk41

 Mk41は、基本型が8セルで1セット(モジュール)を構成し、スタンダードミサイルや垂直発射型のアスロック(VLA)、トマホーク、シースパロー、発展型シースパロー(ESSM)などを混載、発射できる汎用タイプのVLS(垂直発射装置)である。

 海上自衛隊ではむらさめ型が艦橋前部にアスロック用に装備し、むらさめ型の改良型のたかなみ型では同じく艦橋前部に装備し、こちらはシースパローとアスロックを混載している。こんごう型あたご型では艦橋の前部とヘリ甲板の前方(あたご型はヘリ格納庫の隣)に装備している。

3セル分を使ってクレーン装置がある  こんごう型とあたご型は艦隊防空を担うDDGだけあって多数の対空ミサイルを搭載しており、そのためにミサイルを格納・発射するセルの数も多く、こんごう型では前部に29セル、後部には61セル装備し、あたご型では前部に64セル、後部に32セル装備している。

 あたご型がこんごう型と比べて艦橋前方のセル数が多いのは後部にヘリ格納庫があるため、VLSの区画を大きくとれなかったためであり、前方と後方の数が逆転している。また、前方と後方で3セルずつ増加しているのは、こんごう型のVLSにはミサイル再装填用のクレーン装置のため3セル分が割かれているためである。しかし、あたご型では、再装填用のクレーン装置がないため、3セル分増えることになった。
再装填用のクレーンを装備していないのは、洋上での装填は危険であり、効率が悪いためで、あたご型では廃止されている。








MK48VLS

Mk48

 Mk48は、シー・スパロー専用のVLS(垂直発射装置)であるが、発展型シースパロー(ESSM)も発射可能である。海上自衛隊ではむらさめ型のみが装備している。


 Mk48はシー・スパロー専用のVLSであり、海上自衛隊ではむらさめ型のみが装備している。ただし、むらさめ型はMk41も装備しており、Mk48をシー・スパロー用、Mk41をアスロック用に分けている。違う種類のVLSが2カ所(Mk41は艦橋前、Mk48は艦の中央部分)にあり、整備面などで問題があるためむらさめ型の改良型のたかなみ型では艦橋前部にMk41シー・スパローをこのMk48からアスロックをMk41から発射するようになっている。

むらさめ型は矢印の下にMk48を装備している。  Mk48はMk41と形状が異なっており、ミサイルの発射口(上の写真の四角い部分)のふたは開閉式ではなく単なるカバーのようなもので発射される時にミサイルこのカバーを突き破るようになっている。また、ミサイルが発射されるときの炎を逃がすために丸い筒が取り付けられている。

 このMk48はシー・スパロー専用のVLSであるが、発展型のシー・スパローも発射可能であり、この発展型シー・スパローは1セルに4発収納できるようになっており、むらさめ型のMk48は16セルあり、単純に4倍のシー・スパローを搭載することができる。




なお、上の写真のMk48のセル数が少ない(いびつ)なのは整備などで取り外されているためだと思います。







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