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護衛艦「ひゅうが」初一般公開 in横須賀基地の様子を到着から艦内その1編、飛行甲板編、艦内その2とその後編

〜飛行甲板編〜

こちらからは入れません 救命いかだ
 アイランド前側にあったハッチから飛行甲板に出てきました。飛行甲板に出たら艦橋部分全体をみるため左舷側に移動します。
そして、左舷にはキャットウォークと呼ばれる飛行甲板より一段下がった通路があります。空母みたいですね。そして、そこには膨張式の救命いかだが設置されています。救命いかだは艦の外側に平らな鉄板があり、ステルス性を向上させています。

艦橋部分 12.7mm重機関銃
 そしてそのアイランド。平面で構成されており、ステルス性を重視した設計となっています。また、艦橋上部には新型の射撃指揮装置のFCS−3改が見えます。このFCS−3改は長年試験艦あすかで試験を行ってきたFCS−3の改良型であり、戦闘艦としては初めてひゅうがが搭載しています。
アイランドは空母ジョージ・ワシントンのアイランドと比べると非常にすっきりしており、高さも低いです。ちなみに、アイランド左側(写真中央のやや左寄り)に見えている鉄塔のようなものはむらさめ型護衛艦のいかづちののマストです。
そして、艦首に言ってみると、12.7mm重機関銃がありました。通常は機関銃を設置する架台のみですが、今回は12.7mm重機関銃を設置しての展示です。

12.7mm重機関銃 高性能20mm機関砲
 12.7mm重機関銃は通常艦内に保管しており、使用する際に架台にセットするもので、射程や威力などから小型のボートなどを攻撃するものです。このひゅうがには12.7mm重機関銃用の架台は艦の各所に全部で6基あります。
その12.7mm重機関銃の右側には高性能20mm機関砲(CIWS)があります。もちろん対水上射撃もできるブロック1B仕様のものです。当所の計画図ではこの高性能20mm機関砲はアイランド前方に配置されていましたが、最終的に艦首部分に移動されました。当所の位置には現在通信関係の装置を設置が設置されています。高性能20mm機関砲の射角を確保するためか、通信装置を設置するためかは分かりません...。

高性能20mm機関砲 弾薬用エレベーター
 高性能20mm機関砲のブロック1Bをこんなに間近で見たのは初めてです。分かりにくいですが、ブロック1Bの外観上の特徴であるカメラのレンズ部分にはワイパーがあります。赤外線カメラとはいえ雨や海水がかかると影響が出るということでしょうか。
そして、高性能20mm機関砲の後方(艦橋側)には弾薬用の小さなエレベーターがあります。このエレベーターはひゅうがに搭載するSH−60Kに搭載する(できる)Mk46魚雷と国産の97式短魚雷、対潜爆弾、ヘルファイア空対艦ミサイル、を弾薬庫から飛行甲板まで上げるためのエレベーターであり、飛行甲板の後方にも同様のものがあります。

艦橋前方 給油プローブ
 艦橋前方部分(右舷)にも12.7mm重機関銃用の銃架があります。個人的には米軍の艦艇のように射手の足元を守る盾が設置されていたほうがよいと思うのですが、予算的な問題かな。そして、写真右にある太いホースは補給艦から燃料補給を受けるための給油プローブです。このプローブは左舷にはなく、右舷からの給油しかできません。そのほかにドライカーゴ用の補給ポストも前方の給油プローブと高性能20mm機関砲の間にありましたが、撮影し忘れました。

けん引車 消防車
 艦橋の左側には各種車両が展示してあり、黄色いのはトヨタのトーイングトラクタ(正式名:けん引車(航空機用3t))で、航空自衛隊や海上自衛隊(陸上基地用)に採用されているものと同型(多少のモデルチェンジ有)で、ヘリコプターの牽引に使用されます。
そして、白に赤いラインが入った車両は消防車(正式名:艦載救難作業車)です。この車両には水のほか消火用の薬剤も搭載することができます。艦にも放水する設備はありますが、すぐに消火ができるよう(初期消火)に専用の車両を搭載しています。

艦載ヘリ コックピット
 飛行甲板後部にはヘリコプターが展示してあります。このヘリコプターはちょうど格納庫と飛行甲板を結ぶエレベーター部分に展示してあります。機体にはひゅうがの文字とロゴマークがペイントされていました。なんでひゅうがと書いてあるのだろうと思い、近くの隊員に聞いたところ、訓練用の用途廃止の機体だそうです。コックピットを見ると計器類がなく、飛行はできそうもありません。
すでに用途廃止で引退したSH−60Jをこのひゅうがに載せて救難や牽引などの訓練に使用するそうで、そのためひゅうがの文字とロゴがペイントされています。用途廃止になった機体ですが、最新のひゅうがで専用の訓練機として第2の人生を送っています。

ヘリと艦橋 航空管制室
 ヘリと艦橋を後ろから。こうやって見ると、艦橋が右舷に寄せられており、ヘリの着艦スペースが広いのがわかります。
そして、ひゅうがの管制塔である航空管制室です。飛行甲板が広くなり、ヘリの着艦スポットが4つあるため同時に3機の発着艦が可能になったため大きな管制室が設けられています。ちなみに、ひゅうがは大型の船体で、揺れを抑えるフィンスタビライザーを備えているため艦の揺れが少ないため悪天候時などに使用する着艦拘束装置がなく、移送用のレールも敷かれていません。そのためヘリの移動にはけん引車・装置を使用します。

VLS 97式魚雷
 ひゅうがの主武装と言えるのが、この垂直発射装置(VLS)です。このVLSは汎用性の高いMk41で、短距離艦対空ミサイルのシー・スパローと潜水艦攻撃用ロケットのアスロックを半分ずつ搭載します。VLSのセル数が16セルとむらさめ型やたかなみ型の半分と少ないですが、ひゅうがが搭載する発展型のシー・スパローは1セルに4発格納可能であるため8セル×4=32発の発展型シー・スパローが搭載可能となっており、一定の防空能力は維持しています。
そして、先ほどのヘリの右後方には国産の97式魚雷(ダミー)がありました。この97式魚雷は前述の通りSH−60Kから射撃することができます。弾薬運搬用のエレベーターに乗せられた状態での展示です。

後部のCIWS クレーン車
 艦の左舷後方には埋め込まれる形で高性能20mm機関砲(CIWS)が配置されています。当所の計画図では艦橋部分の後方にあり、前方のCIWSとで艦橋部分を挟む配置でしたが、御覧の通り左舷後方の1段低い部分に配置されました。前方のCIWSと同様に当所の位置には通信装置(アンテナ)などがあり、通信能力を重視するためある程度の能力を犠牲にしたということでしょうか。それでも、前方のCIWSはともかくこちらの後方のものは射角がほとんど取れないと思うのですが...。
そして、左舷後方の低甲板にはクレーン車がありました。クレーン装置をなら補給艦や輸送艦にもありますが、クレーン車をそのまま搭載するのはひゅうがが初めてです。このクレーン車は各種器材の積み下ろしに使用するもので、常に搭載しています(もちろん、必要に応じて下す場合もあると思います)。広い格納庫と飛行甲板をもったひゅうがならでは、といったところでしょうか。

艦尾から 移動装置
 艦尾のほぼ中央から艦首方向を撮影してみました。確かにこれまでのDDHとは比べ物にならないほど飛行甲板は広くなっており、ヘリが駐機されていても横幅にかなり余裕があります。
ヘリの後部タイヤにはなにやら見慣れない装置が装着されています。この装置はヘリの後部タイヤに装着してコントローラーで操作しながらヘリを移動させるものです。けん引車がありますが、能力的にこの装置は短距離での移動用とのことです。

マスト 飛行管制室後方
 マストには海将補旗が掲揚されています。第1護衛隊群司令が乗艦しているあかしです。
右の写真は航空管制室のすぐ下(艦尾方向)です。当所の計画図では後部のCIWSはこの位置に搭載される予定でしたが、実際には通信装置があり、航空管制室直下は何もありません。視界を確保するためでしょうか。



次は艦内その2編です。







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