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155mmりゅう弾砲 FH70

155mmりゅう弾砲 FH70

               



備考

 155mmりゅう弾砲FH−70はイギリス、西ドイツ(当時)、イタリアの3カ国で共同開発された火砲を我が国でライセンス生産したもので、陸上自衛隊は約470門を配備しており、陸自の主力火砲と言える。略称はFH70。


隊員が左手をかけているところに砲弾を乗せ、右手の持ち手で砲弾を持ち上げる  FH70はNATO軍の標準火砲としてギリスと当時の西ドイツ、イタリアの3カ国で共同開発された牽引式の火砲で、陸上自衛隊はそれを我が国でライセンス生産を行ったものを、1985年度から部隊配備を開始して2000年度までに497門を調達し、現在は約470門が北海道以外の各地の特科部隊に配備されており、陸上自衛隊の主力火砲といえる。

 操作人員は9名で、牽引には74式大型トラックをベースにした専用の中砲牽引車で牽引し、牽引車から切り離して6mある砲身を180度回転させ、射撃時の反動を抑えるために脚を左右に開くなどの作業を人力で行う。
そして、射撃する際には装弾トレイ(左の写真で隊員が左手を載せているところ)に砲弾を乗せ、取っ手(左の写真で隊員が右手で触っている部分)を隊員2人で持って装弾トレイを砲尾まで持ち上げ、棒で砲弾を砲身に押し込んで発射用の火薬を装填して数百キロある閉鎖機を上から落とすように蓋をし、ハンドルで砲身の角度などを変えて照準を行い射撃をする。


装弾トレイを持ち上げた状態
 このFH70は牽引式の火砲であるが、補助動力を搭載しているため多少自動化されており、射撃姿勢や走行姿勢に移る際のタイヤの上げ下げや装弾トレイを砲尾まで持ち上げるなどの作業を自動で行えるようにもなっている。
このように半自動で行えば最短8秒で射撃が可能で、通常の場合は10秒程度で射撃ができるとのことです。

 とある部隊の創立記念日行事の装備品展示で隊員の方から射撃手順を聞いている際に一緒に装弾トレイを持ち上げることになり、隊員の方と私とで装弾トレイを持ち上げましたが、砲弾が乗っていな状態でも結構重たく感じました。この装弾トレイは重量が約30kgあるそうで、さらに砲弾が乗ればプラス45kgになりますので実際には相当な重量になります。
砲弾が乗った状態で一人で持ち上げられるようになれば2人で行った時には余裕で持ち上げられるそうです。

牽引されているFH70 非常にシンプルな運転席











 FH70は牽引式の火砲で、前述の通り、74式大型トラックをベースとした中砲けん引車でけん引されているが、この中砲けん引車の荷台には射撃要員や砲弾などを搭載することも可能で、牽引すれば火砲と要員、砲弾などがまとめて移動できるようになっている。

自走して移動しているFH70 そして射撃作業などにも使用する補助動力装置(APU)を使用すれば路上や不整地を最高速度16km/hで自走して移動することも可能で、短距離の移動などを迅速に行うことができる。非常にシンプルな運転席(右上写真)は牽引状態(左上写真)の右後方にある。短距離ではあるが、自走して移動ができることや射撃や射撃準備の際の一部の作業を自動で行えるようになっている点はすべて人力に頼っていたこれまでの牽引砲とは大きく異なる点で、牽引式火砲の弱点をある程度は補うことができている。


 FH70は多少自動化されているとはいえ人力に頼る部分も多いが、砲弾の装填を自動で行う自動装てん装置などの自動化装置を搭載すれば操作人員を減らせ、要員の負担を減らすことができるが、自動化すればその分重量や大きさが増してしまい、速やかな移動(空輸)などがしにくくなる(できなくなる)などのデメリットも発生してしまう。その点でいえばFH70は牽引砲のコンパクトさとある程度の自動化を行っているほどよい火砲と言える。


空包射撃をした瞬間。実は空包射撃は実弾射撃よりも音が大きい  FH−70は現在北海道以外の各特科部隊(大砲を扱う部隊)に配備されている。これは、配備当時北海道はソ連が上陸して機甲戦となることを想定して北海道の部隊は自走式の装備が集中的に配備されていたためりゅう弾砲も75式自走155mmりゅう弾砲が配備されてたためである。

 射程は通常弾で約24km、射程を延長させた噴進弾では約30kmとなっている。
これは北海道に集中的に配備された75式自走155mmりゅう弾砲の最大射程約19kmを大きく上回っており、この75式の後継の99式自走155mmりゅう弾砲の配備が開始されるまでは本州以南と北海道の特科部隊の火力が射程では逆転していたことになる。


 部隊配備開始から20年近く経過しており、後継火砲の選定に向けた調整が行われており、海外火砲のライセンス生産か国産開発が検討されているようである。
FH70は人力作業も多くコンパクトなため移動も容易であり、こまごまとした場所の多い本州などでも運用がしやすいが、現在北海道に配備している99式は照準、砲弾の装填などが自動化されて省力化されている反面、車体が大きく、重量も40tあり、道路環境などが比較的良い北海道以外では運用がしにくい。このため本州などで運用がしやすいような形状、重量などの火砲が選定されることになる。


諸元・性能
名称 155mmりゅう弾砲 FH70
操作人員 9人
最大全備重量 約9.16t
全長 9.8m(牽引時)
12.4m(射撃時)
全幅 2.2m(牽引時)
全高 2.56m(牽引時)
武装 155mmりゅう弾砲・・・1
砲身長 6.022m
仰俯角度 +70〜−3度
旋回角度 左右合計56度
最大射程 24,000m(通常弾)
30,000m(噴進弾)
発射速度 6発/分
開発 イギリス、(西)ドイツ、イタリアの共同開発




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