後段演習

  後段演習は様々な職種(普通科、機甲科など)が協同して行う戦闘の様相を展示するものです。上陸した敵を撃破するという想定で演習は行われます。本来なら長期間(数日、あるいは数週間)にわたって広範囲で行う戦闘を時間的・場所的制限があるもと行われます。




航空偵察




航空偵察として観測ヘリコプターOH−1が偵察活動を行います。OH−1は高い機動性と防弾性能を備えており、さらに空対空ミサイルも搭載することができるなど高性能な観測ヘリコプターです。アパッチとデータリンクをさせて軽武装させる改造や、汎用ヘリへの改造をさせるなどの案があるようですが、どうなるのでしょうか。




このようにOH−1は急上昇や急降下などが行えるような高い機動性を誇っています。OH−1の偵察活動によって3の台前方に勢力不明の敵を発見しました。


ヘリボン行動




OH−1による航空偵察の結果をうけて地上偵察を行う部隊が偵察用オートバイ2両を搭載したUH−1でやってきました。UH−1からの偵察によって3の台前方の敵は装甲車及び散兵と判明し、偵察部隊は偵察用オートバイによる地上偵察に移行します。




UH−1から偵察用オートバイを降ろしてバイク偵察部隊は敵の後方に進入し、さらに偵察活動を行います。UH−1には偵察用オートバイを2両積載しますが、この状態では機内は非常に狭いです。機内からバイクを降ろす作業が早いです。もたもたしていたら敵に攻撃されますので、この辺は早くできるように訓練しているのでしょう。




地上部隊の活動を援護するためAH−1Sが20mm機関砲による射撃を行います。来年はAH−64Dが航空偵察&援護射撃を行ったりして。




さらに、UH−1に積載した機関銃から射撃(ドアガン射撃)を行います。写真のUH−1は5.56mm機関銃MINIMIを搭載しています。こちらのヘリはただ展示用として機関銃を構えているだけの気がする。




こちらには12.7mm重機関銃を搭載しています(確か)。右側の標的に命中して標的が炎上しています。




中隊主力の到着に先立ち、先遣して小隊がUH−60及びCH−47から降下します。




この先遣小隊の降下をAH−1Sが射撃援護します。




UH−60から隊員がリペリング降下します。リペリング降下は隊員と降下用のロープを金具で固定して滑り降りる降下方法です。




CH−47からはファーストロープにより降下しています。ファーストロープは太いロープを手足で挟んでその挟み加減で降下する方法です。金具で固定しないため、降下技量は高いものが要求されます。手前のUH−60からリペリング降下した隊員が金具を外している間にCH−47からファーストロープ降下した隊員は次々と走り出しています。やはり、金具で固定しないファーストロープ降下は降下してからの離脱が早いです。




先遣小隊は中隊主力の降着を安全に行えるように降着地点周辺の敵を撃破し、要地を確保します。




軽装甲機動車を輸送ヘリコプターCH−47が吊り下げてきました。




CH−47によって空輸された軽装甲機動車に先遣小隊の隊員が駆け寄ります。




隊員は乗車するために準備を行います。




CH−47から吊り下げに使用されていたロープを収容します。




別の地域に分散、降着していた軽装甲機動車が合流しました。01式軽対戦車誘導弾を構えて警戒していますが、射撃はありませんでした。




合流を援護するために軽装甲機動車から5.56mm機関銃MINIMIを射撃します。軽装甲機動車は本来、固有装備なしで、MINIMIの場合は個人が携行する武器をセットしているに過ぎません。しかし、威力などを考えると12.7mm重機関銃搭載車両もあればよいと思います。その辺は柔軟に。




軽MAT(01式軽対戦車誘導弾)をここから射撃するのか?と思っていましたが、射撃はなしです。軽装甲機動車と軽MATの登場で普通科の防御・攻撃能力は大幅に向上しました。




中隊主力と高機動車を搭載したCH−47が到着しました。中隊主力の降着まで間、軽装甲機動車が警戒します。




CH−47には高機動車が搭載されており、高機動車は自走して機外に出ることができます。




機外に出た高機動車は速やかに攻撃前進を開始します。


攻撃


偵察活動



87式偵察警戒車が進入してきました。この87式偵察警戒車がオレンジの台に装甲車を確認しました。




敵の警戒線を強行突破するためにオレンジの台の装甲車を撃破します。




先ほどの87式偵察警戒車がオレンジの台の装甲車に対して25mm機関砲を射撃しました。襲撃の間に潜入部隊が進入してきました。




残敵を攻撃しながら潜入部隊が一気に敵の警戒線を突破します。




1/2トントラックからのMINIMI射撃です。さすがに揺れ動く車両から射撃すると弾道が乱れますね。




バイク偵察部隊も登場です。




偵察部隊の活動によって敵の状況を把握しました。偵察部隊はここで引き上げます。


第1線部隊の攻撃


攻撃準備射撃




攻撃の前に、攻撃を容易にするために特科部隊や迫撃砲部隊が敵陣地等に対して射撃(攻撃準備射撃)を行います。




攻撃準備射撃の間に74式戦車が射撃陣地を占領すべく進入してきました。奥(2の台)で煙が上がっているのは81mm迫撃砲が射撃を行ったため。




74式戦車が次々と射撃陣地を占領します。




攻撃準備射撃の間に判明した敵に対して、対戦車部隊が誘導弾を射撃します。3段山下の戦車に対して79式対舟艇対戦車誘導弾を射撃しました。




6の台左の戦車には87式対戦車誘導弾を射撃しました。




3の台の戦車には64式対戦車誘導弾を射撃です。




64式対戦車誘導弾は飛翔速度が遅いため、簡単に目で追えます。




引き続き、74式戦車が敵戦車に対して射撃を行います。74式戦車は次々と敵戦車を撃破し、敵の戦力をすり減らします。




敵が仕掛けた地雷原を処理するために92式地雷原処理車が地雷原を処理します。その前に、92式地雷原処理車の活動を支援するために特科部隊が発煙弾を射撃しました。また、74式戦車は92式地雷原処理車の活動を妨害する敵に対して射撃を行います。




2・3段山は特科部隊が射撃した発煙弾によって煙に包まれています。そして、手前の6の台は74式戦車の射撃によって煙が上がっています。


障害処理



92式地雷原処理車が敵の照準レーザーを感知し、攻撃を回避するために発射発煙弾を発射しました。




92式地雷原処理車が地雷原処理用ロケット弾の投射準備を完了しました。




投射よぉ〜い、投射!




投射の際は独特の音を出します。このロケット弾の投射は対戦車誘導弾の射撃よりも迫力がありますね。




地雷原処理用ロケット弾は26個の爆薬ブロックを内蔵しています。




その爆薬ブロックを爆破して地雷を爆破処理し、戦車用通路を開設しました。


攻撃前進支援射撃



攻撃前進支援射撃として特科部隊が攻撃前進を支援するために射撃を行います。が、一緒に行った友人が「アパッチ」と言って左を示したので見てみるとアパッチがホバリングしていました。それからはアパッチが気になって特科部隊の射撃どころではありませんでした。と言うことで攻撃前進支援射撃の写真なし。




90式戦車とアパッチとのコラボレーションがついに実現しました。


攻撃前進



攻撃前進支援射撃のもと、90式戦車が攻撃前進します。


普通科戦闘部隊の攻撃



さらに、普通科部隊の装甲戦闘車化小銃小隊が89式装甲戦闘車に乗ってやってきました。89式装甲戦闘車は35mm機関砲により敵装甲車を撃破します。ただ、35mm機関砲の射撃数が少ない。89式ファンとしてはちょっと寂しい。




90式戦車は前傾姿勢にになって警戒体勢をとっています。




89式装甲戦闘車が陣地転換を行います。




89式装甲戦闘車の陣地転換を90式戦車が射撃援護します。


突撃支援射撃突撃



特科部隊及び迫撃砲部隊による突撃支援射撃のもと90式戦車が突撃を行います。




90式戦車が突撃に成功しました。


戦果拡張




90式戦車と89式装甲戦闘車が横一列に並んで発射発煙弾を発射します。




その直後上空をヘリ部隊が通過します。アパッチとコブラのコラボレーションも実現しました。新旧のヘリですが、コブラもまだまだ頑張るようですね。




アパッチが上空を通過。やっぱりアパッチはごついな。




ヘリ部隊の通過と同時に戦車部隊、装甲車部隊などが会場になだれ込んできて演習は終了です。






演習を見学して...

 近年、国対国の大規模な戦争の脅威は減少していると言われますが、日本周辺では依然としていわゆる冷戦型の脅威、つまり、朝鮮半島及び台湾海峡の問題が残っています。しかし、国対国の戦争であっても現在は戦車や装甲車などを多用して一挙に攻め込むと言うのではなく、空挺部隊や特殊部隊等による奇襲が主になると言われています。
そのなかで、我が国は多くの離島を抱えており、工作船からの上陸、ヘリからの上陸など、奇襲的に攻め込まれた際にはヘリで部隊を空輸するなど機動性・即応性が求められます。その中で、後段演習の初めのヘリボン行動ではヘリを多用した機動性の高さを見ることができました。そして、軽装甲機動車は小型・軽量であるためにヘリでも空輸可能な装甲車であり、非常に重要な装備の一部です。

 日本は攻め込まれる脅威は差し迫っていないから防衛費を減らすべきだと言う人たちがいますが、脅威が迫ってきたら対応すると言うのは手遅れです。奇襲的に攻撃を受けた際はどうすればいいのか。軍隊と言うのは常に備えておかなければ能力は落ちてしまいますし、装備でも近所のスーパーに買い物に行くように簡単には調達できません。長い月日をかけて整備し、万が一攻め込まれた際に対応できるようにするのです。と言うことで石破大臣には頑張ってほしいです。財務大臣は元防衛庁長官の額賀さんですから、この機会にしっかりと予算を取ってほしいです。



しかし、総火演で使用する弾薬量が減ったなぁ。












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