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軽装甲機動車



               

 軽装甲機動車は小型・軽量で機動性が高く、ヘリコプターでも輸送可能な装甲車で、2001年から調達を開始して翌年から部隊配備が始り、現在全国の部隊に急速に配備が行われている。


大型輸送ヘリCH−47で吊り下げられて空輸される軽装甲機動車  軽装甲機動車の特徴はなんといっても小型・軽量であるという点である。これまでの装甲車(96式装輪装甲車など)は車体重量が10tを超えており、サイズも大きいためヘリコプターでは空輸できなかった。しかし、軽装甲機動車は重量が約4.5tでサイズも1/2t トラックよりも大きく高機動車よりも小さいサイズであり、輸送ヘリコプターのCH−47で空輸することができる。これにより、離島などにヘリコプターを使って輸送することができるようになり、機動性などが向上している。

 そして、装甲防御力としては“軽”装甲機動車なので通常の装甲車よりも劣り、小銃弾などに耐えれる程度と言われているが、これまで高機動車や1/2tトラックなど非装甲車両を前線地域で使用していた部隊は軽装甲機動車の配備によって格段に安全性が向上している。また、車体と地面との距離が高くさらに大型のタイヤを装備していることにより悪路でも走行が可能である。

 固有の武装はないが、車体上面にあるハッチからは5.56mm機関銃MINIMIや新型誘導弾の01式軽対戦車誘導弾の射撃が可能である。また、各地の駐屯地祭などでは84mm無反動砲などを隊員が構えた車両が行進するなど、実際の運用では5.56mm機関銃MINIMIや01式軽対戦車誘導弾だけでなく、ほかの個人携行武器も車上射撃すると見られる。そして、今後は米軍などのハンビーのように12.7mm重機関銃M2を搭載可能なようにするなどの改良も行うのではないかと個人的に予想している。


大型輸送ヘリCH−47で吊り下げられて空輸される軽装甲機動車  現在生産されている軽装甲機動車は初期のものとは多少異なり、側面と後方の窓枠が強化されたものになっています。防弾ガラス自体は今までの同じもののようで窓枠の補強もこれまでの窓枠の上に1枚重ねた感じになっています。
さらに、車体後部には予備タイヤ用のキャリアを取り付けることができるフレームがあるほか、燃料携行缶用のラックもあり、車体上面の前方にはワイヤーカッターが取り付けられるようにもなっています。

 車両のバリエーションとしては発煙発射機を装備したり、5.56mm機関銃MINIMIが搭載可能な銃架を装備した車両、通信機能を強化した車両、後部にラックを設置した車両があるなどバリエーションは多く、前部で7種類ほどがある。また、航空自衛隊でも基地防護用に調達を行っており、2003(平成15)年度に4両調達し、翌年から部隊配備が始まっている


 さらに、軽装甲機動車の注目点の一つに配備数量がある。これまでの装甲車は年間に10〜20両程度の調達であったが、軽装甲機動車は初年度(平成13年度)に約100両、その後は年々増加し、最近では170〜180両程度調達されており、これまでの装甲車とは調達ペースが大きく異なっている。この理由の一つに価格がある。軽装甲機動車は小型でかつ装甲もさほど強いものではないこのため製造コストが安く、単純計算で1両当たり約3,000万円で、96式装輪装甲車の1億2,000万円と比べると格段に安い。このため大量に調達が可能となっているのである。さらに、小型でヘリコプターでも空輸可能である軽装甲機動車は現代の脅威(テロやゲリラなど)の対処に重要であるため多くの調達がなされている。



諸元・性能
名称 軽装甲機動車
乗員 4人
空車重量 約4.5t
全長 4.4m
全幅 2.04m
全高 1.85m
最低地上高 0.41m
登坂能力 60%
最高速度 100km/h
行動距離 約500km
開発 防衛庁 技術研究本部





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